アラサーADHD主婦の雑記

アラサー主婦。ADHD(ADD寄り)持ち。現在夫の転勤で東南アジア暮らし。日々の出来事、考え事などを綴ります。

SHEINの大罪

私は最近まで、SHEINの魅力にすっかり取り付かれていた。

でも初めての購入から2年半経ち、もう買うことはないだろうと思う

(よほど魅力的な製品が出るか、ブランドが方向性を一新するまでは)。

SHEINに対して見切りをつけたとでもいうべきか。

今回は何故そう思うようになったかの過程を書いていこうと思う。

 

1.SHEIN革命

SHEINを知らない人のためにまず説明したい。SHEIN(シーイン)は中国発祥のアパレルブランド(正確に言うとブランドでは無いのだが、それについては後述する)で、なんと昨年の売り上げはZARAを遥かに上回るという今や飛ぶ鳥を落とす勢いの企業だ。

一番の魅力はその商品点数にある。

なんと一日につき5千〜1万点の新商品が追加されるのである。

 

なぜそれだけの数の新商品を出せるのか(だがよく見ると全部が新しいわけではない。再出品される数も相当含まれている。それでも凄い)

なぜそんなことができてしまうのか、その仕組みはもう訳がわからないが、私のような刺激大好きなADHD民にとってはまさに、スクロールする手が止められなくなってしまうほどなのだ。

実際一番ひどい時は、毎日追加される5千点の新商品を上から下までスクロールしていた。

右手の親指が痛くなるくらいだ。

 

またSHEINのアプリには画像検索機能がある。

例えば自分の好きなブランド商品の画像をアップロードすれば、それに似たデザイン(SHEINはハイブランドなどの人気商品のアイテムをパクリまくることでも有名)の商品を探してくれる。

自分が憧れているハイブランドのバックや靴や洋服のDUPE(贋物) を100分の1の価格で手に入れられるのだ。

クオリティは別として、手が届かないブランドへの所有欲を満たすのには手っ取り早い。

 

この4-5年で爆発的な流行が起きたSHEINだが、驚くべきはなんと日本人の間でも、ここ1-2年で物凄い勢いで流行り始めている。

私が買い始めた二年半前はトップセラーの商品でさえ日本人のレビューはほとんど見かけなかったが、最近はまだほとんどレビューがない新商品にもついていたりする。

 

日本の若者はこの「失われた30年」で相当に可処分所得が減り、洋服にかけるお金が本当に少なくなった。10代や20代のお金がない若者はもちろん、最近では30代から50代のミドル層まで「SHEINで買える高見えアイテム」なんてYouTube動画を出している。

 

2.出会い

私がSHEINに出会ったのは今から2年半前、まだ妊婦だった頃だ。

海外で妊婦になって困ることはオシャレな妊婦服を見つけずらいということだった。

ZARA、MANGO、H&Mなどの支店はあったが、ゆったり着られる妊婦向けの服を探し当てるだけで疲れてしまうし、毎回店舗に足を運ぶのは面倒、なにより好みのデザインがなかった。

そこでSHEINの存在を偶然知った。SHEINのアプリはUIも見やすく画期的でワクワクさせてくれる。そしてレディース、メンズ、下着、キッズ、マタニティ、ペット服、雑貨まで、実に様々なジャンルを取り揃えている。

マタニティ服の取り揃えの良さ、デザインの多さ、可愛さには驚いた。

それも毎日数千点も新商品を提供できるシステムならではである。

 

3.初めての商品

届いたのは、お腹周りがゆったりしたシフォン素材の花柄ワンピース3着、綿素材の伸びて体にフィットするタイプのワンピース2着だ。どれも商品画像を見るととても可愛らしかった。

そして到着した商品を見て驚いた。

何に驚いたか・・・

服としての最低限の機能が無いのだ。

 

まず裏地は無い。だからペラペラで、目の前にかざしたら向こうの風景が見える。

縫製も素人目に見ても斜めになっていたり糸が所々飛び出ている。シルエットも着てみるとなんでこうなるの?と言った感じ。

「こんな服を売っていいのか?」と思うような、服への最低限の責任も無いといったような仕上がり(念押しするが、あくまでも個人的な意見であるのであしからず)。

あとで調べて納得したが、SHEINはかなり粗悪な環境の工場で従業員を働かせてもいるようだ。

さもありなん、と言ったところか。

 

そしてそのうちのワンピースの一つは、なんと1度洗っただけでお尻の部分の布が擦り切れて穴が開いてしまった。特に激しい運動などはしていない。普通に着ただけ。

なので服の素材そのものが思いっきりもろくて薄いとしか考えられない。いくら安いとはいえ、こんなものが堂々と12-14ドル位で売られているんだからびっくりである。

 

おそらく、SHEINのスタンスを文章にするとこうだ。

「魅力的な商品写真さえあれば」後は消費者が勝手に注文してくれる。

もしレビューが悪い商品があれば、商品一覧から削除してしまえばいい。

実際そんな感じの商法である。商品が毎日数千個投入されては、いつの間にか消えていく。

 

消費者としても「こんなに商品がたくさんあるのだから次は良いものが届くかもしれない」「もしかしたらまぐれですごくいい物を安く手に入れられるかもしれない」という心理が働く。

これはよくできたシステムだ。

 

4.疑問が確信に変わる時

 

その後も何度も注文してみたが、やっぱり駄目だった。

アクセサリーは水や汗にひとたび触れてしまえば、塗装がすぐ剥がれてサビサビになってしまう。数十円で買えたりする商品は仕方ないが、MOTFと言う、金メッキを施しているとうたう高級ラインのアクセサリー(1000-2000円)も数回水に濡らしたらすぐにメッキが剥がれた。

靴はペラペラでそもそもの形を保っていなかったり、靴底のゴムがすぐボロボロになったりする。外で履くには恥ずかしいほどのレベルだ。

バッグ類も基本的にチープな見た目が多いが、かわいいデザインのものもある。

かなり気に入ったデザインのバックがあてよく使っていたが、半年たたずに金具が壊れてしまった。気に入っていたので買い直したけれど、しばらくするとやっぱり金具が壊れたり取手の縫製が取れてしまったりした。

やっぱりこの場合も洋服と同じように、「鞄としての最低限の耐久性」がない。

1年も使えないのだから。

とうとうSHEINで買い直すことは諦め、他の通販サイトで似たデザインのものを買ったのだが、そっちの方がよほどしっかりしていたし値段も1.5倍ぐらいしか変わらなかった。

 

こうなるとSHEINで買うメリットが見当たらない。

 

私が勝手に考えるSHEINの仕組みはこうだ。

すでにアリエクなどの安い海外通販で売っている物を担当者が見つけ(もしくは持ち込まれるかなんかして)、そのまま売るか、タグだけSHEINに付け替えて売る。

自分たちでデザインする完全オリジナルの商品もあるが、全体の1割くらい。

ほとんどの商品はラベルを張り替えて終了だ。

だからそこに細かな検査などは設けてないように思えるし、品質基準なども無いか、あっても著しく低い。

なぜこんなに耐久性がないのか?(GUの方がよっぽどしっかりしている)と不思議になる位耐久性がないので、まぐれがない限りSHEINで長持ちするものなんて売ってないと言うことになる。

でも多くの消費者にとっては「長持ち」は重要でないのだ。

現にこんなに売れてしまっているのだから。

 

お金は無いけど最新のデザインの物が欲しい。手軽に流行を追いたい。一瞬の目先の欲だけを満たしたい、という消費者心理をうまく付いたのだ。

 

壊れてもまた新しく安いものを買えばいいのだから。

 

 

5.大量生産大量消費の行方

 

正直なところ、いち消費者から見たSHEINはとっても魅力的である。

前述したように、そんなにお金がなくても最新トレンドを追うことができるし、毎日追加される山のような新商品を見ると心が躍る。

 

しかし一番重大な問題は、壊れたり飽きられたり

廃棄された大量の服やアクセサリーはどこに消えるのかと言うことだ。

 

もともと質が良くないのだから当然リサイクル市場には出回ってこない。

壊れていたら人に譲ることもできない。

廃棄場で大量に燃やされ、大量のガスや得体の知れない気体を発しているかもしれない。

処理されているならまだ良いが、後進国では洋服のゴミ山がそこらじゅうにできていて、そこでゴミを拾って暮らしている人もいるかもしれない。

 

子供を持つ母として、きれいな地球を残したいと思うのは当然のことだ。

次世代に無責任な選択はなるべく減らしていくべきだと思う。

 

今の目標を7倍厳しくしないと地球温暖化は改善しないと言うニュースが最近出た。

子供が生まれてから、昔では考えなかったようなことをいろいろ考える。

環境問題は次の10年20年単位のビジネストレンドにおいて、避けて通れないものなんだと思う。

資本主義の世界でそんな甘っちょろいことを言っているなんてと笑われるかもしれないが、一人一人が意識を変えなければ、このまま地球環境の悪化を放置すれば、

そもそも人類がこの地球に住めなくなると言う最大級の問題に直面する。

そうしたらお洒落も承認欲求もへったくれもない。

 

NetflixのDon't look upも似たような内容の映画でとても面白いのでおすすめする。

この記事を読んでる皆。

ティッシュで鼻をかむが如く、使い捨ての服やアクセサリーを買うのはやめよう。

 

服を大事にする、そのためにいい物を長く使う。

そんなシンプルなことが明るい未来につながる気がするのだ。